青い馬の後ろ姿
2012年のウィーン旅の時に、興味あるところは既に訪問済み。
音楽施設は毎回異なる演目があるので当然再訪するが、その他の場所を再び訪れる気にはならなかった。
未訪問の場所の中から、アルベルティーナ(美術館)を選んで行ってみた。デッサンや版画など地味な作品から鑑賞して、疲れてしまった。勉強不足なので説明が難しく感じた。既に知っている作品との関連付けもできず、完全にアウェイ感だ。アルブレヒト・デューラーの野ウサギがあるはずなのだが見つけられなかった。ウサギさんに会いたかった。
そんな中で、出会って嬉しかったのは青い馬!2015年にミュンヘンで出会ったフランツ・マルクの青い馬のもう一つのバージョン。まさかここでもフランツ・マルクの動物シリーズに会えるとは。しかも、あの青い馬の後ろ姿があったなんて知らなかった。とてもかわいらしい。
次のマックス・ベックマンは、フランクフルトのシュテーデル美術館で知って気に入った画家。ここでもまた遭遇。それからフランス印象派のマティスとシニャックの絵。
最後に載せたのはブルータスの鏡像。展示室の手前の通路に置かれていたものなのでレプリカと思われる。神経質そうな美しいお顔に少々心惹かれた。思い出すのはシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」。題名こそ「シーザー」だが、実際の主役は苦悩するブルータスの方だ。
スイーツは横からフォークをブッ刺す
おっと、そういえば音楽施設以外で再訪した場所があった。2012年にも行ったカフェである。
近くまで来たので、ふらりと入ってみた。ランチにしようかと思ったのだが、ボリュームがあると食べるのが苦しいので困る。ランチではなく、アプフェルシュトゥルーデル(アップルパイみたいなお菓子)とメランジェ(コーヒー+泡だてたミルク)を注文した。ほら、やっぱり一切れが大きい。シュトゥルーデルだけでボリュームあるのに、アイスクリームが2スクープも添えられている。
こちらのカフェでは、なぜか横からグサリとフォークを刺した状態でケーキが提供される。シュトゥルーデルも同様だった。3枚目の写真は2012年のもの。
外観に惚れた建物を調べてみたら・・・
丸が並んだデザインが素敵。通りすがりに写真に収めた。文字を参考に後日調べてみたところ、Google Mapの説明には「かつて修道院だった建物を活用した趣のある家族経営のワインショップ。ワイン、シュナップスやシャンパンを扱う。」とある。詳細は不明。ショップのサイトによると新店舗がオープンしたようで、Google Mapの場所も私が写真を撮った場所ではなく新店舗の場所のようだ。
スープ作りの名人ウサタン氏
ウサタンではない!(失礼な!)
彼にはムッシュー・ルプロンという立派な名前がある!
本屋で衝動買いした絵本。原作はイタリア語。買ったのはドイツ語版。せっかくだから自力で翻訳して紹介したいところだが、私は翻訳する権利を取得していない。おおまかなあらすじを追いながら、感想を共有したい。感想というより、気になった点のピックアップ(ツッコミ?)だ。
ウサタン氏はエレガントな野ウサギさん。子供たちと、孫たちと、ひ孫たちがいる(さすが、ウサギは繁殖力が強い!)。ひ孫がいるというと、おじいちゃんのような印象だが、ウサギ的には老人ではない。現役真っ只中の世代なのだろう。
庭の野菜でウサタン氏が作ったスープは大絶賛されている。誰も同じように作れない。スープ用の大きな鍋は、通信販売で買ったそうだ。どうやらウサタン氏は、通販で色々買い込んでしまう癖があるようで、倉庫には物が山積み。ボードゲームやおもちゃのロデオ「ロディ」もある。
ついにウサタン氏は自ら起業してスープ缶を製造販売した。ワタシは気づいてしまった!スープ缶のラベルデザインに描かれているウサタン氏は、ご本人よりさらにキリッと引き締まってシャープな印象だ。さては、ちょっと加工したわね(笑)かっこいいわよ!(絵本衝動買いの理由1:実物よりさらにイケメンなウサタン氏のお顔が描かれたスープ缶がツボにはまった!)
ウサタン会社のスープ缶は社用ジェット機で世界に運ばれる。かなり大規模なビジネスだ。日本でも大人気になったらしい。本文内に「日本」という言葉は一切出ていないのだが、あるページで、スープ缶の宣伝や街のネオンが日本語になっている。宣伝は文字が一部隠れていてよく読めないのだが「本物の音楽だよ、レプロンスープ」かな? ウサギさんがスティック?とスプーンを持って指揮をするようにスープを作っている。「レプロン」でも良いのだが、なんとなく綴りがフランス語っぽいので、私は「ルプロン」が良いのではと思う。その横の宣伝文字はちょっと意味不明だが、「正肉」「生野菜」? 作者あるいはイラストレーターが日本に興味があるらしいということを感じる証拠がもう1つある。スープを作りながら椅子で眠りこけるウサタン氏の手にはグルメ雑誌があるのだが、そこに載っている写真は、どうみても鉄火巻きである。(絵本衝動買いの理由2:なぜかちょっと日本が出ている)
ウサタン氏は金儲けに夢中になったのではない。ただ、世界中の人々が「世界一美味しいスープ」と言ってくれるのが嬉しかった。特に王様のようなスゴイ人に褒められることを夢見ていた。スープを作りながら居眠りするのが日課だったのだが、だんだん素敵な夢から悪夢を見るようになってしまった。スープ製造会社の運営も大変でプレッシャーだったようだ。顧客の苦情にショックを受けたり、嘘だらけの悪い噂に頭を悩ませたり。かわいそうなウサタン氏は燃え尽きてしまった。ツヤツヤだった毛並みはツヤツヤではなくなってしまったし、ピンとしていたお耳もだらんと垂れてしまった。仕事中毒はニンゲンもウサギも注意しなければいけないね。
ウサタン氏は廃業を決めて、元の生活に戻した。子供たち、孫たち、ひ孫たちと楽しく暮らし、1年に1回だけ最高に美味しいスープを作る。おや?家族団欒のテーブルにはワイン瓶も見えるけど、ウサギご一家もお飲みになるのかしら。
めでたしめでたし。
(絵本衝動買いの理由3:何はともあれウサギはかわいい。)
この絵本が気になる人はAmazonで探してみると良い。Amazonにあるかどうかは私は知らない。日本のAmazonにはないかもしれないが、ドイツやイタリアのAmazonならあるかも?
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ウィーンのお花たち、ホテル、街並みなど