Sergey Malov / Irina Zahharenkova | 2023年6月14日 | ウィーン・コンツェルトハウス

14. Juni 2023
Wiener Konzerthaus
Schubert-Saal

Sergey Malov, Violine, Violoncello da spalla

Irina Zahharenkova, Klavier

Anton Webern
Drei kleine Stücke für Violoncello und Klavier op. 11 (1914)

Ludwig van Beethoven
Sonate A-Dur op. 69 für Violoncello und Klavier (1807–1808)

Anton Webern
Vier Stücke für Geige und Klavier op. 7 (1910–1914)

Ludwig van Beethoven
Sonate a-moll op. 23 für Violine und Klavier (1801)

ランチタイムコンサートである。

私は最前列を取ったつもりでいたが、初入場の黄色いシューベルトホールでは何故か2列目に「1列目」と表示がある。おかしいな。最前列は誰も座らない列で、2列目から座るということなのだろうか。周辺のお客さんたちに確認したところ、何と最前列は「サークルライン」という列で、2列目が「1列目」ということだった。私のチケットをみると、確かに「サークルライン」と書かれていた。後から来たお客さんたちも戸惑っていたので、教えてあげた。

というわけで、最前列で珍しい楽器ヴィオロンチェロ・ダ・スパラを存分に拝む気満々だったのに、なんということだろう!セルゲイ・マーロフは楽器を持ったまま、ピアノの蓋に吸い寄せられるような姿勢で演奏した!「今、僕のこの楽器と彼女のピアノが共鳴している!」ということを感じるため?!とにかく、ヴィオロンチェロ・ダ・スパラのお顔(お姿)はほとんど記憶に残っていない。ああ・・・

もう一つ、地味にショックだったことがある。

演奏順はプログラムの記載とは少し異なっていた。まず、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタの第一楽章。そしてヴェーベルン、そしてベートーヴェンの第二楽章に戻り、またヴェーベルンといった感じ。これは案外面白く鑑賞できた。まったく飽きずに聴ける。意外なほど違和感なくベートーヴェンに挟まれるヴェーベルンだった。

休憩なしで、続けて後半プログラムに入った。いよいよヴィオロンチェロ・ダ・スパラの出番だ。嬉しそうに微笑みながら楽器を取りに舞台裏に行くマーロフ。後半も同じようにベートーヴェン→ヴェーベルンの順で演奏すると思っていたのに、先に演奏されたのはヴェーベルンだった!!

つまり、初めて生で聴くヴィオロンチェロ・ダ・スパラ(古楽器)の演奏が、よりによってヴェーベルン(近代の前衛的な作曲家)の音楽だなんて!!!!

スパラ(楽器名が長いので省略!)でも様々な曲を演奏できるのだとか、アンコール前のセルゲイ・マーロフのコメントでも触れていたと思うが、それはそれでもちろん同意する。でも、初めて聴く音がヴェーベルンとは、思ってもみなかった。。 最も、ベートヴェンであっても、すでにこの楽器が使われなくなった時代なのだから、そこまでこだわる必要はないのだろうけど。ヴェーベルンなんて・・・

それでも、スパラで聴くヴェーベルンは美しかった。

楽器の姿こそ見えなかったが、演奏している姿勢は目に焼き付いている。身を屈めて演奏しているので、ヴァイオリンを演奏するより体に大きな負担がかかるのではと思った。

ざっとプログラムの作品解説に目を通してみたが、今回はチェロ作品がスパラで演奏されることについては何も言及がなかった。他の公演のために書かれた作品解説を使い回ししているのだろうか?残念だ。

動画は何度も見ているが、セルゲイ・マーロフの生演奏は初めてだった。スパラだけでなく、ヴァイオリンも。想像していたのより激しい、熱い演奏だった(ピアノも同様)。マーロフは終始ニコニコ笑顔で好感度が高い。盛り上がるベートーヴェンチェロソナタ(ヴィオロンチェロ・ダ・スパラ版)の途中で拍手が上がってしまった時も、嫌な顔せず、笑顔で客席が静まるのを待つ。

ベルリン在住のマーロフはもちろんドイツ語でご挨拶。

「グーテンモルゲン」

いや、もう午後ですけど?!・・・これは、通常の夕方のコンサートではなく、昼間の短いランチタイムコンサートであることを彼なりに少し皮肉ったご挨拶のようだ。弾き足りなかった。もっと演奏したかったかもしれない。(次はフルタイムのコンサートをオファーしてあげてくださいね、コンツェルトハウスさん!)

ベートーヴェンもヴェーベルンもウィーンゆかりの演奏家だけど、もう1曲ウィーン的な作品を演奏すると説明した。作曲家であり、ヴァイオリニストであるというと、やはりあの人ね。アンコールはロシアの作曲家ラフマニノフがピアノ独創版に編曲したことでも知られるクライスラーの「愛の悲しみ」。クライスラーのピアノパートより派手なピアノだったような気がするのだが、気のせいだろうか?サイトのアンコール曲情報は普通にクライスラーの「愛の悲しみ」となっている。1910年とあるが、ネット検索によると1905年出版となっている。さらに調べてみたところ、1905年に他人の名で出版されて、1910年にクライスラーが著作権を取得(取り返した?)ようだ。

Zugabe:

Fritz Kreisler
Liebesleid (1910)

Schubert-Saal | Wiener Konzerthaus

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